信じるとは

1月のいつかに、女優の芦田愛菜さんのインタビュー記事を読みました。

『その人のことを信じようと思います』っていう
言葉ってけっこう使うと思うんですけど

『それがどういう意味なんだろう』って考えたときに、
その人自身を信じているのではなくて

『自分が理想とする、その人の人物像みたいなものに
期待してしまっていることなのかな』と感じて

だからこそ人は『裏切られた』とか、
『期待していたのに』とか言うけれど

別にそれは、『その人が裏切った』
とかいうわけではなくて

『その人の見えなかった部分が見えただけ』であって、
その見えなかった部分が見えたときに

『それもその人なんだ』と受け止められる、
『揺るがない自分がいる』というのが
『信じられることなのかな』って思ったんですけど

でも、その揺るがない自分の軸を持つのは
凄く難しいじゃないですか。

だからこそ人は『信じる』って口に出して、
不安な自分がいるからこそ、
成功した自分だったりとか、
理想の人物像だったりに
すがりたいんじゃないかと思いました。

ほんとにそうだなぁ、と思いました。
彼女はまだあんなに若いのに、きっと沢山の想いを感情を体験してきたひとなんだろうなぁと思いました。

とても優しい想像力のあるひとなのだなぁ、と。

信じる
信頼する

ちょっと重たい言葉にも感じます。
でも、嬉しい、ちからをくれる言葉でもありますね。

今年にはいってから、キーワードのようにあらわれるこの言葉。
先日のお客様との会話にも登場しました。

信じたい、けど、疑ってしまう。

大切なひとであればあるほど、信じたい。
心から信じていたからこそ、信じたい。

けれど、一方でどうしても疑ってしまう。
そんな自分と状況に、疲労困憊。

心底深く深くうなずきましたー。
また違うときに、こんな言葉に出会いました。

柔らかな自信は、自分を信じることから生まれます。

なんとも、とても救われました。

何もかもうまく行くから自信が持てるのではなく
期待通りにならないかもしれないけど
自分がやりたいと思うことを、自分にやらせてあげる。

やめたいと思うことを、やめてあげる。
離れたいと思う人や場所があるなら、距離をとってあげる。

うまく行く体験から得られる自信は、
それがうまく行かなくなったら崩れてしまいますが

自分がやりたいと思うことを
やらせてあげることから湧き出る自信は
うまく行くかどうかには関係なく、
自分との信頼を深めて行く
柔らかな自信になって行きます。

いつも一緒にいる自分自身を信じられる喜び。
自分が自分を信じてくれている、
深い、深い安心感です。

すると、マイケル・Ｊ・フォックスの著書で知った
「ニーバーの祈り」を思い出しました。

神様、自分では変えられないことを受け入れる平静さと、
自分に変えられることは変える勇気と、
そしてそのちがいがわかるだけの知恵をお与えください。

マイケル・Ｊ・フォックス/『ラッキーマン』より

言葉との出会いはいつも本当に絶妙で、そのちからは偉大です。いつも完璧なタイミングで助けてもらっています。
ここに引用した言葉たちもすべてそう。

言葉は記号なので、その意味は、受け取り手に託されます。

同じ本やフレーズを繰り返し読んでしまうのは、直感的にアンテナが反応するから。
わたしの中身が変わったから、意味がまた変わって読めるよって。

諸行は無常。

でも、自分の意志で変えられるのは、自分自身の中身だけ。
そこが、ポイント。

世界とはなんと包容力があって、
すごい浄化力を持っているのだろう。

信頼するに足るではないか、と思ったのだ。

まるで巨大なくじらのようだ。
大きく波をたててどんどん飲み込み、どんどん出しておおらかに、
まるで鳥のように海をゆうゆうと渡っていくあの生き物のようだ。

そんなでっかい生き物の中にいるのに、私が心配することなんか、
なんにもありはしないんだ、そう思えた。

私はただここで小さく輝いて、消えていくだけ。
小さな小さな物語を作って。
それでいい。

よしもとばなな/『王国〈その2〉痛み、失われたものの影、そして魔法』より